技術紹介 Technology
NTTグリーン&フードの
「品種改良」は、
スピーディー
かつ困難だった品種の開発も
期待できる技術です。
遺伝子(DNA)を狙って自然界でも生じる変異を起こす「ゲノム編集」。これは、自然界で偶然生じる突然変異や、長い時間をかけて行われてきた品種改良を加速させる技術です。
品種改良とは?
私達が養殖で使用する品種改良は、「ゲノム編集技術※1」を用いています。
例えば、マダイやヒラメなどは養殖に適した遺伝子を持つ親魚を選抜し、
長い時間をかけて継代飼育をすることで、成長の早いマダイや疾病に強いヒラメが生み出されました。
しかし、何世代にもわたる継代飼育を行う必要があるため、数十年かかるだけでなく、多大なコストも必要でした。
「ゲノム編集」では、狙った遺伝子をピンポイントで切ること(欠失)により、切断された遺伝子が自然修復される過程で遺伝子の機能を「停止」もしくは「強化」するため、養殖に適した品種改良が可能です。
自然界で起こる変異を意図的に起こすのが「品種改良」であり、他の生物の遺伝子を入れる「遺伝子組換え」とは異なる別の技術です。
また、全ての種苗に対してゲノム編集技術を施した稚魚を用いるのではなく、ニーズや魚種に応じて選抜育種や突然変異育種含む様々な育種を行っています。
※1 ゲノム編集技術を始めとした水産物の品種改良技術は、リージョナルフィッシュ株式会社の保有する技術になります。
遺伝子組換えとは?
遺伝子組換えとは、ある生物が持つ遺伝子の一部を他の生物の細胞に導入し、その遺伝子を発現させる技術のこと。日本ではこの遺伝子組換え生物の輸入、流通、栽培その他の使用をする場合、使用の目的に従って、各法律に基づき、科学的に安全性を審査し、問題が生じないと評価されて初めて使用できる仕組みとなっています。
品種改良×魚介類
例えば、マダイ。
筋肉細胞の成長を抑える遺伝子を壊すことで、通常のマダイに比べて、食べられる部位「可食部」が1.2倍、最大1.6倍になります。
ひとつひとつの筋繊維が大きくなることで熱が入りやすく、加熱時の身質がふっくら柔らかくなるという特長があります。
品種改良×藻類
藻類は光合成によってCO2(二酸化炭素)を固定※1しながら成長します。
藻類への品種改良技術、藻類の生産に最適な温湿度、栄養分および光量調整等による大量培養技術、優秀品種の藻類を選抜する品種改良技術等を活用することで、光合成を活性化させて成長速度がスピードアップ。さらに、通常よりも多くのCO2を体内に固定させることができます。
藻類はDHA/EPAといった高い栄養価を持つことから、魚介類の餌に使われています。将来的には、農業用の肥料や他の産業分野での利用もめざします。
※1 二酸化炭素等無機的な炭素を、糖等の有機的な炭素化合物に変換して体内に取り込む過程のことです。
環境に配慮した、
循環型の陸上養殖
NTTグリーン&フードがめざす陸上養殖システムは、魚介類を生産するプラント、その餌となる藻類の生産プラント、魚介類の排泄物等を浄化する水質浄化プラントで構成されます。まずは自社でのシステム開発や利用を図り、将来的には本システムの外部への提供をめざします。